向き合う日々

動いて考えて捨てて減らして、感じて変わっていくかもしれないブログ

それしかないわけない

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今、自分で自分の人生を終わらせたいと思うほど、困難な毎日を生きているなら、この絵本を手にとって読んで欲しい。ヨシタケシンスケさんの「それしかないわけないでしょう」。絵本なら文字が少ないし、この絵のタッチが心を穏やかにしてくれるから、文字を追うのが辛いほどしんどい時でも、目から頭に入ってくると思う。

 

子どもには、なるべく小さい時から何度も何度も繰り返して目を通せるように、身近な存在に置いて欲しい。

 

私が死にたくてたまらなかった頃、「死ぬしかない」という思いの中で生きていた。それしかないんだ、そうする以外ないんだ、終わらせる方法はこれしかないんだ、と強く思い込んでいたのを覚えている。

 

「恐怖、不安、焦り、絶望、憎しみ、怒り」の中で生きるのはとても疲れる。疲れ切る。そうなると逃げたくなるけれど、逃げることは許されないと思っているから消えたくなる。今の苦しい状態は永遠に続き、奇跡でもなければ変わることは絶対ない、と信じて疑わなくなる。ならば消えたい、消えるには死ぬしかないと死を憧れるような感覚になる。

 

疲れ切ると、思考の視野が極端に狭くなるのだそうだ。だから未来を想像しないし、今の苦しみから今すぐ逃れたいとその方法だけを望むようになるのだろう。

 

昨日も辛くて今日も辛くて、明日も辛いはずだと絶望していても、頭の隅で「それしかないわけないでしょう」とつぶやけるように。自分が信じて疑わない死への思いを少しだけ疑って「これは違うかもしれない」と思って欲しい。

 

思考の視野が狭くなり、盲目的に「それしかない」と思っている時は、自分の考えだけが正しいと思い込んでいて、周りの人の言葉を受け入れることがない。だから、周りの人が何を言おうと何をしようとあまり効果がないと思う。

 

私は、そうだった。誰の声も聞き入れる気は無かった。私の何がわかるんだ、私の苦しみを理解する気もないくせに、「死んではダメ」とか「生きていて欲しい」とか、言いたい事ばかり言いやがって。「死んではダメ」に対しては「死んじゃダメな理由は何よ?」と思っていたし、「生きていて欲しい」には「あんたの願いを何で聞き入れなきゃならないんだ?」と怒りが湧いていた。

 

「それ以外あとは何があるんだよ」と苛立つかもしれない。「こんなことあるわけねーよ」と絵本を閉じるかもしれない。だけど、それでも自分に「それしかないわけないでしょう」と言ってみて欲しい。

 

言い続けたら、何かが見えるかもしれないし、何かが変わるかもしれない。やってみなきゃわからない。やってみて、それでも何も変わらないじゃねーか、ってなるなら、それは足りてないって事だから、もっともっとたくさん頭の中で言い続けてみて欲しい。自分でやるんだよ、自分で。今の状態から逃れたいと少しでも思っているなら、自分でやるんだ。そして、あえて「しか」を使うとするならば…

 

「自分でやってみるしかないんだよ。」

 

他人から、いくら手を差し伸べられたところで、その手を自分で取らなきゃ何も変わらない。手を取っても傷ついたからと頑なになってたって、誰も代わってはくれないし、誰かが変えてくれるわけでもない。自分も手を伸ばして、差し伸べられた手を取らなきゃ、そこからは抜け出せないんだ。怖くて手を出せないなら、頭の中で自分に言うことはできる。自分で自分に「それしかないわけないでしょう」と言ってみることは難しくない。それでも、それをやるかどうかは、自分次第なんだけど。

 

子ども達が成長して大人になって、様々な困難にあった時、苦しみや悲しみの中でも不意に「それしかないわけないでしょう」って思い出せたらいいな、って思ってる。それが、それからの自分を救うことになるはずだと、私が実感したからだ。